それは5年前、息子が5歳幼稚園年中さんの時の話である。

亡くなった主人の実家に顔を出し、泊まりたくないから
宿を離れた新宿の某ホテルに予約していた。

外国人の多いホテルでエレベーターの中では
「ハロー」なんちゅって気軽に外人さんに挨拶する息子
アタクシはダンマリ・・・(笑)

その晩 ちょっと贅沢してホテル内のステーキハウスで
食事することになった。(息子に泣き倒され根負けしたのだが)

・・・息子はめっちゃグルメである・・・
最初の約束ではコース料理を一人前頼んでそれを分けて食べると言う
ことになっていたのだが メニューを見た途端彼の目の色が変わった!


5歳にして漢字込みのメニューが読めるコト自体はたいしたものなのだが、

彼が可愛い声で叫んだのは


「松阪牛の

ヒレステーキ!」
だった。



子供相手にもひるまずきっちりと一流レストランのボーイは
「かしこまりました。何グラムですか?」とのたまう。

「100グラムで十分かな?」と息子。


ちょ、ちょ、ちょっと

待ったあ~Σ(;゚Д゚)




「いえ、あのこちらのコースをですねえ・・?」


焦って割り込んだアタクシに向かって深々頭を下げそのボーイは

「それではスペシャルコースおひとつと松阪牛のヒレ100グラムですね」

あわわわわ・・・た、頼んでないよぉ~~~~~

(もう言えない)_| ̄|○ 


できるだけ心の平静を保とうとするアタクシの隣で

5歳の息子がたどたどしい声でさらにひとこと。


「あ、焼き方はミディアム

レアでお願いします」





ウッヒョォー!固まったよ・・・フリーズだよ・・・アタクシは・・

てか 何でそれを知ってんの?


目の端にボーイとウエイトレスが肩を揺らして笑いをこらえているのが見える。


お盆で隣のおっさんを

叩きながら声を殺して

笑っている!





更に目の前で焼いてくれるシェフがバカ丁寧に息子に話しかける。

「タレはガーリックとぽん酢がございますよ」

「ボクはぽん酢の方がさっぱりでいいかなあ~」

くれぐれも言っておくが うちは母子家庭である。
アタクシだってその時まで松坂牛なんてお目にかかったこともない!
しかもなんで焼き方まで知っているんじゃああぁぁ?息子?


しかも彼はなぜか九州育ちなのに言葉が標準語に近く
とても丁寧だったりして、着ているものはブランド品(アタクシの趣味)
・・・そりゃどこぞのおぼっつぁまに見えたのかもしれません。


しかしひとこと ひとことウンチクをタレる5歳児にレストランの従業員は大受け!

「やっぱり松阪牛は柔らかくて美味しいねー」だの

「焼き方がちょうどいい」だの・・・ ゞ( ̄∇ ̄;)オイオイ・・・

アタクシ自身は何を食べたのかもう覚えていません。
会計が気になって、喉を通りませんでしたとも。



シェフに「ボクはすごいね~美味しそうに食べてもらえて嬉しいです」と
5歳にして言わしめた男!!


カードで払った食事代はコース6000円
松阪牛のみ!5500円 やってらんねえ~と飲んだグラスワイン1200円

合計¥13335

ちなみに1泊が¥9800。。。



彼はその後、部屋のキイを自分が持ったままアタクシを閉め出し
そのまま寝てしまい 呼べど叫べど起きてこない。
ホテルマンに頼んででっかいハサミ(?)で開けて貰ったさ
・・・しっかりチェーンまでかけていやがった。

ちょっとジュースを買いに出た隙に

壊した鍵代プラス

¥3150




なんて親孝行な息子なんだろう_| ̄|○ 


彼の武勇伝はつきない。